想像
「通帳がない」
と母から電話がかかってきた。
やばい、とうとうこの時がきたか。
認知症の始まりはたいがい「お金を取られた」から始まるらしい。
電話で話を聞いている最中から頭の中で、ものすごい勢いで想像が始まる。
物忘れや被害妄想から、最終的には娘の私のことも分からなくなるのか!
そして壮絶な介護生活が待っているのか!
ものの2分程の電話の会話中にとんでもないネガティブ想像が働く。
結局その1件はただの母の勘違いで、大した問題ではなかったのだが。
昔から想像は得意だ。
ネガティブな想像も多いがそうじゃないのだってできる。
お風呂の時間は私の夢の時間。
今の流行りは自分で開業する話と移住の話。
とりあえず設定は場所から決める。
内容は非現実と現実に近いもの。
基本ちょっとドラマ仕立てに架空の人物も登場する。
外せないのは、私は必ずお洒落なエプロンを着ていること。
そして天気がいいこと。
素敵なお花が飾ってあること。
あ~、なんだか陳腐な昭和の曲みたいだ。
こんなに想像はできるのに創造が出来ない。
行動力はあるつもりだが決断力がない。
あ~、結局ネガティブなのだ。
今日は早めにお風呂に入ろう。