ショッピングセンター

母を迎えに実家近くのショッピングセンターに行った。

地元では、なくてはならない存在だ。

外出するのに少々おぼつかなくなった母だが、

このショッピングセンターだけは特別だ。

時間をもてあまし家にいるのが飽きた日は、

ここで一人、一日中プラプラ過ごす事もあるくらいだ。

 

平日のショッピングセンターはとにかく年寄りだらけだ。

店側もそういう対応をとっている。

地元の人たちにも愛されている。

何がいいって普段着で長靴をはいたまま来ても違和感がない。

お隣の街の境界線をまたぐとそうはいかない。

街のショッピングセンターに行くときは少々おめかしをしなくてはならない。

ここはおめかしなんぞして偶然同級生に会おうものなら、

店に居ながらにして、「どっか行くの?」

と聞かれそうな雰囲気さえただよっている。

 

建物は古いがきちんと管理され、

細かな気遣いもそれぞれに見られる。

トイレの洗面所には、野花の一輪挿しが飾ってあり

「ふきん」と書かれたふきんが2枚置かれていた。

 

30年根付いた店は存在自体が当たり前になったが、

たこ焼き屋のおじいさんの腰の曲がった姿を見て

ちょっと泣きそうになった。