あの水
前にも書いた「癌に効く水」を取りに行った。
だいたい1ケ月に1度のペースだ。
昔は行く度に行列ができていて長い時間待たなければならなかったが、
最近は誰もいない状況がほとんどだった。
しかし今回は水を汲み始めてからすぐに1台の赤い車がやってきた。
すぐに女性が近づいて来て、
「ここの水は癌に効くって聞いたんですけど、そうなんですか?」
と尋ねてきた。
すぐさま、
「そうですよ」と、夫と同時に答えた。
嬉しくなったというのは、その女性に失礼になるのかもしれないが、
私はこの水の話を興奮しながら女性に説明した。
女性もその息子さんではないかと思われる運転手の男性も、
笑顔をみせてくれ喜んでくれたように思う。
「かつらなんですよ」
と照れながら言った女性はそれがとても似合っていて、
はつらつしているように感じた。
「治りますよ」
と言って挨拶をかわし先に車を出した。
「治りますよ」なんて簡単に言ってはいけない
こともあるかもしれないが、
あの時女性に言ったことは間違っていなかったと思う。
だって、あの水はすごいんだから!
そして私もその水をガブガブ飲んでいる。